野外塾にはなぜ個性的な子が多いのか(264号/2016年9月号)

 忙しかった夏ももう終わり。毎年、夏はあっという間に過ぎてしまうような気がするのは僕だけでしょうか? 夏の終わりに寂しさを感じます。

 さて、何が忙しいのかというと、夏休み中はいろいろイベントがあるからですが、中でも当店が主催するおおきな木野外塾ではキャンプなどの恒例プログラムがあります。今この文章を書いている時点で、沖縄ざまみツアー(3泊4日)が残っていますが、7月には、昆虫採集キャンプ(1泊2日/岐阜市三田洞ながら川ふれあいの森)、無人島サバイバルキャンプ(3泊4日/岡山県倉敷市)をやり、8月には、おっぱらサマーキャンプ(2泊3日/高山市清見大原)がありました。準備も本番も大変ですが、どれも楽しいことだらけで、野外塾のない夏は僕には考えられません。

 年間を通じて野外塾のプログラムには子どもだけでなく、大人も自由参加できるので、キャンプ好き、野外活動好き、仲間とワイワイやるのが好きという「人種」が集まり、ひとつの大家族のようになって過ごす。これが大きな魅力のひとつになっています。野外塾は会員制になっていて、年長から中学生までが対象ですが、Yフレンドと呼ばれる高校生以上の会員もいます。今年の夏のプログラムにはそのうち7名のYフレンドが参加してくれましたが、彼らの野外塾歴は短くて8年で、22年というのが一名います。何かこの野外塾に魅力を感じて続けてくれているのだと思いますが、その魅力というのもそんなところにあるのではないでしょうか。生き物好きが多いのかといえば決してそうでもないし…。ゆかいな高校生男子たちが言うには、「野外塾にはヘンな奴が多いから」らしいです。

 ここ数年の話ですが、無人島サバイバルキャンプで

は、最後の晩の余興で「みんなのまとも度チェック」というのが恒例になっています。「○○君(さん)はまともだと思う人、手を挙げてくださーい!」とみんなに聞きます。毎年参加者は20人前後ですので、ひとり手が上がれば5点。全員手が上がれば100点です。これを小学生から大人まで参加者全員にやるわけです。最後の晩ですから、お互いどんな人間なのかが分かってきているので、なるほどという結果が生まれます。ちょっと変わった子とか、ちゃらんぽらんな子とかは点数は低く、しっかりした感じに見える子は高得点になります。ちなみに僕はいつも0点か5点で、土下座をしてみんなにごめんなさいをしていますが、高校生のYフレンドたちはというと、両極端に二つに分かれます。でも、彼らは決して高得点を期待してはいなくて、0点を取れなくて残念がっていたりするんですね。どうも「ヘンな奴願望」があるみたいです。

 余計なことかも知れませんが、ちょっと釈明をしておきますと、「ヘンな奴」というとちょっと聞こえが悪いですが、要するに個性的ということなわけですよ。野外塾の子たちを見ていると、たしかに個性的な子が多いような気がします。新しく入ってきた子たちを見ても同様です。野外塾では、みんなをひとつにまとめようなんてことはあまり考えませんから、みんなバラバラ。勝手に好きなことをやっています。時にはみんなに合わせようと思ってくれてもいいんじゃないかと思うときもありますが、基本は自由です。自分が自分としていられる場所なんです。「みんな違ってみんないい」んです。だからみんな「ヘンな奴=個性的」となっているんじゃないでしょうか。

おおきな木 杉山三四郎