会員登録をしている某紳士服店から、時々お買い物券が届きます。3000円以上の買い物で2000円割引というお得感。ついつい使わなきゃ損みたいな気になって何度か利用していましたが、今回からこれが電子交付となったそうで、お買い物券はダウンロードしてお使いくださいとのこと。ああ、これも時代の流れかと諦めざるを得ないのですが、こういうの、なんかありがたみがないよなと思ってしまうのは僕だけでしょうか。図書カードも図書券の時代の方がよかったよなって思うんです。紙幣のように財布に入っている方が金券という感じがするじゃないですか。今の図書カードはQRコード読み取り式になっていて、今いくら分残っているのかはスマホをかざさないと分からないんです。
そして、今ここに来て政府が主導してやっているのがキャッシュレス化。来年のオリンピックに向けてやらなくてはいけないんだとか。確かにアジアやヨーロッパ諸国を旅行すると、どんな小さな店でもクレジットカードが使えたりするので、便利といえば便利なんですけどね。それに比べると日本はまだまだ現金払いが主流。これって遅れてるんでしょうかね。現金に対する信用が日本は高いということなんですから、別に諸外国に追随することはないと思いますけどね。
おまけに消費税増税の免罪符のように始められたキャッシュレス決済5%ポイント還元制度。当店も対象店舗ですので申請はしてるんですが、審査に時間がかかるらしく、1か月以上経ってもまだ承認が得られていません。9月の時点で対象店舗の約3割しか申請がされていないということだったので、駆け込みがいっぱいあったんでしょうね。でもね、こんなことにかけられるお金があるんだったら消費税を上げる必要なんてないんじゃないかというのが正直な気持ちです。
そして、今まではほとんど必要を感じていなかったので放っておいたQRコード決済の申請も重い腰を上げて面倒な書類を提出しました。アップルペイとかペイペイとかアリペイとか、何とかペイなるものがクレジットカード以上に種類があって、今後どれくらい利用があるのか分からないのに、各社に申請しなくてはいけないので大変なのです。おまけにクレジットにしてもペイにしてもお店は手数料を負担しなくてはいけないわけで、現金払いの方がありがたいのです。消費者の身になってみても、こうした目に見えないお金ってありがたみがないし、各種あるポイントカードもいくら貯まっているのかよく分からないし、使い方もよく分からなくて、どうも損をしているような気がするだけです。若い人たちには抵抗感がないのかなあ。
とにかくこうしたことがこの10月に一気にやってきて煩わしい思いをしているのに、消費税が上がったことで消費が冷え込んでいる感じが実感としてあります。安倍内閣で内閣官房参与を務められた藤井聡さんが書かれた『「10%消費税」が日本経済を破壊する』(晶文社)という本を読んでみましたが、1997年に3%から5%に上がった時、2014年に8%に上がった時、いずれも消費が落ちこんでデフレが進み、各世帯あたりの収入は減り、国の税収も減少するという結果になったようです。消費税は消費に対する「罰金」のようなもので、デフレが続き景気が後退しているときに消費税を上げるというのはとんでもないというのが、この藤井さんの主張です。こうしたアドバイザーの言うことに耳を貸さずに強行したのが今回の10%増税なんですね。
おおきな木 杉山三四郎