記憶に残る誕生日にはなったけど…

 3月9日は僕の誕生日でした。誕生日には夫婦でデートが恒例になっていて、今年は普段あまり行かないイタリア料理のレストランで食事をしました。ネットでの評価が高いということで選んだ初めての店で、場所は岐阜市の繁華街柳ヶ瀬。結構大きなバー風のレストランで、カウンターに案内されました。夕飯時というのに他に客は誰もいません。シェフ兼バーテンダーのオーナーが応対してくれて、イベリコ豚のステーキやズワイガニのパスタなど、料理も評判通り安くて美味い。なのに、こんな貸切状態で申し訳ないといった感じです。

 新型コロナの影響で柳ヶ瀬がゴーストタウンのように静まり返ってますが、この店も宴会のキャンセルが続出していて、売り上げが大きく落ち込んでいるとのこと。この日も他の客はついに現れず、オーナーとお互い慰め合っていたところ、今日は僕の誕生日で…、という流れになって、「では、これプレゼントします」とスパークリングをボトルでいただいちゃいました。で、もう一人の若いスタッフも加わり、シャンパングラスで乾杯をして、また話が弾み、僕の何回目かの誕生日は、新型コロナのおかげで記憶に残る一夜となりました。

 でも、今、世の中はこんな能天気なことを言ってられない状態になってます。うちの取引先のバス会社は、3月、4月の予約は全てキャンセルになり、その先も出始めているとか。僕の絵本ライブ公演も4月までほとんどキャンセル。僕のサポートをしてくれているミュージシャンたちも同じ目に会っていて、ギャラのいい仕事から先にキャンセルが決まって来ると言ってました。ギャラのいい仕事は規模も大きいわけだから、仕方ないとはいえ、悲しい話です。

 そして、学校の全国一斉休校要請がまた世の中を混乱させました。外出禁止になった子どもたちは暇を持て余し、ゲーム三昧。仕事を持つ親たちは、学校の託児機能の大きさを改めて感じておられるでしょうね。この休校要請は、安倍首相が専門家の意見を聴くことなく独断で行なったらしいのですが、残念ながら彼の想像をはるかに超える混乱が生じてしまったんでしょうね。教育関係の専門家の方たちからは、学校ほど安全な場所はないのに…、という声もあります。

 この政府の休校要請を受けて、岐阜市もすぐに一斉休校となりましたが、外出している子どもの姿を見て、学校に通報するような人もいるとかで、そういう話になるとちょっと怖いですね。4月の岐阜まつり(道三まつり)も中止になりました。たしかに人が多く集まるイベントなので、感染の可能性は高いと言えますが、自粛ムードの中でうちだけやる訳にはいかない、ということなんでしょうね。この、なんというか、みんな我慢してるんだから…、という感覚は戦時中を思い起こさせ、人を監視するような行為にまで及ぶと怖さを感じます。みんな横並びで、ではなく、ウィルス感染の可能性がどれほどなのかといった基準で、主催者が責任を持って判断をすることが重要だと思います。

 おおきな木では、先日も野外塾を予定通り行いました。屋外の活動だし、大規模でもないし、リスクはゼロとは言いませんが、普段公園で遊んだりするレベルと何ら変わりはないと思うのです。子どもたちは弾けてました。ツクシやノビルなどの野草収穫に夢中になり、川で水遊びや泥んこ遊びで大はしゃぎ。そんな子どもたちの様子を見て、親御さんたちも胸をなで下ろしておられたんじゃないでしょうか。

おおきな木 杉山三四郎