何を信じていいのか分からない時代です

 9月も後半になり、新型コロナウイルスの新規感染者数が徐々に減ってきました。その理由は今のところよく分かってはいないようですが、ワクチン接種が2回終わった人が半数近くになったというのはあるんじゃないでしょうか。というか、そう思いたいですよね。変異株(デルタ株など)には効果が薄くなるとも言われてますが、早くこのコロナ禍から脱出するためにはまず自分の感染リスクを下げなくてはという思いから、僕は接種券が来てすぐに予約を入れて打ちました。副反応もいろいろあるようですが、僕の場合は2回ともほとんどなし。高齢者だからなんでしょうかね。

 日本においてはまだ正式に承認された治療薬はないというなかで、ワクチン接種が今できる最良のリスク回避対策だと思うのですが、まだまだ若者世代の接種率が低いのは何故なんでしょう。打ちたくても予定が合わなくて予約がとれないとか、副反応の心配もあります。働き盛りの人たちからしたら、それによって仕事を休まざるを得ないことになると大変だ。コロナにかかっても重症化する確率は低い。だったら、……。ということなんでしょうね。でも、出どころ不明の怪情報によってワクチンに対する不信感を持っている人たちが少なからずいるというのは困ったものです。

 厚労省のホームページを見てみると、Q&A形式で数ある誤情報に答えてくれてますが、いろいろあるんですね。ワクチン接種が原因で死者が多数出ているとか、ワクチンを打つと不妊になるとか、ワクチン接種をした人が変異株にかかると重症化しやすいとか。これらの情報はおそらくごく少数の人から発信されたものだと思うのですが、今の時代はSNSであっという間に拡散されてしまうんですね。「そもそもコロナなんてないんだ。誰かがでっち上げた陰謀だ」なんていう動画まで広まってますから、びっくりです。

 昨年日本で新型コロナが流行りだしたころ、「私は日赤病院に勤めるものですが……、コロナ患者が多数運び込まれていてパニック状態になっている」という投稿がチェーンメールのように広がったことがあります。僕のところにも何人かの知り合いの方から送られてきました。親しい人から送られてくると、それは正しい情報なのかもと思ってしまうんですね。でも、このときは、発信者が誰なのか何も書かれていませんし、どこの日赤病院なのかも特定されていませんでしたから、僕はこれは怪しいなと思ったんですが、コロナが一体どんなものなのかまだよく分かっていない状況だったので、不安に思った人が拡散してしまったんでしょうね。

 今の時代、何を信じたらいいのか本当によく分かりません。悪意があって発信する人もいるんでしょうが、ほんの冗談半分につぶやいたことが、どこかで真実かのごとく変化して伝わってしまう場合もあります。よく吟味もしないで安易に拡散してしまわないように注意が必要だと自戒も含めてつくづく感じています。だったら、政府や自治体やマスコミが発している報道なら信じられるのかというと、やたら不安を煽るだけのような報道もあって、これも吟味が必要でしょうね。

 要は、どこに感染者がいるか分からないから、人と人が接するときにはマスクをするなどの感染防止対策をするということですよね。あとは自分の頭で判断するしかありません。どう行動しても感染する確率はゼロにはなりません。でも、そのリスクを下げる対策の一つとして、ワクチン接種は有効なのではと思います。

おおきな木 杉山三四郎