
1月19日。岐阜市最高峰の百々ヶ峰(418m)の麓に広がるふれあいの森で、おおきな木野外塾の冬のデイキャンプを行いました。寒くなると参加者数も少なくなるのですが、今回は40名の親子が集まりました。
普段のデイキャンプでは、みんなで一斉に同じことをやるということはあまりないのですが、今回はまずみんなで「森のビンゴゲーム」をしました。A4判のビンゴカードにはこの時季に見つかる植物の写真が25枚載っていて、それらを探してその実や葉っぱを採ってくるというルールです。制限時間は60分。親子だったり、友だち同士でグループを作り、森の中を駆け巡りました。冬なので花はほとんど見られないし、葉っぱも似たようなのが多いのですが、全員がビンゴ達成。それでも物足りなくてパーフェクトを目指して走り回っていた子もいました。
お昼はみんなで大きな焚き火を囲んで、それぞれ家から持ってきた食材を焼いて食べます。焼き芋、焼き鳥、五平餅、ソーセージ、ピザなど、そんなに変わったものがあるわけではないのですが、みんながそれぞれのものを一緒に食べるという一体感は悪くありません。
この時季、虫好きの子たちは朽木を崩してイモ虫探しをします。ドライバーやハンマーを使って崩していくと、白いイモ虫やときにはクワガタの成虫が見つかったりもします。この日は成虫には会えませんでしたが、クワガタやカブトムシの幼虫を見つけた子が何人かいました。飼育して、どんな成虫になるのか楽しみです。
31年前、おおきな木はオープンし、同時に「ことば塾」と「野外塾」という二つの塾がスタートしました。とくにこれといったカリキュラムはないので、時間割もなければ課題もない。こんな塾が果たして成り立つのか正直不安もありました。実際、ことば塾を見学に来られたお母様から、カリキュラムが書かれたものはありませんかと言われたこともありました。「塾」ですから、そういうものがあるのが普通です。
でも、そのカリキュラムとか課題といったものは大人が決めた枠組みなのです。学校はそれで成り立っていますが、おおきな木では大人が決めた枠組みに子どもを組み入れるのではなく、子どもの個性に大人の方が着いていけばいいのではないかと考えています。そして、子どもが生き生きとしていられる場を作るのには3つの「間」が必要だ、と当初から考えていました。
一つ目は、子どもが自由に過ごせる「時間」です。大人の価値観を押し付けないようにして、子どもに寄り添っていけばいい、ということです。二つ目は、子どもたちの好奇心をくすぐってくれるものがある「空間」です。野外塾で言えば、自然の空間であり、ことば塾で言えば、絵本や言葉の世界です。そして、それらを共有できる子どもや大人の「仲間」です。長年やってきてつくづく思うのは、「子どもは群れで育っていく」ということです。それも同年齢だけでなく、大人も含めた異年齢の方が断然面白いです。親も自分の子どもだけでなく、いろんな子どもたちを見て学ぶことは多いと思います。
野外塾では長年続けている子もたくさんいて、彼らは大人の手が必要な作業があるときなどの強力な戦力になっています。また、ここまでやってこられたのは、活動を一緒に楽しんでくれてるお父さん、お母さんたちのご理解とご協力があってのことで、本当に感謝です。そして何よりも、僕たちが元気でいられるのは、子どもたちから元気をもらっているからだと思っています。
おおきな木 杉山三四郎