たてのさんの「うんこ虫」の話が聞きたい!

 9月に絵本作家の舘野 鴻(たてのひろし)さんがやってきます。僕が舘野さんに初めてお会いしたのは4年前。メディアコスモスで行われた「おとなの夜学」で、テーマは「ギフチョウが教えてくれる、人類の足あと」。名和昆虫博物館館長の名和哲夫さんとの対談でした。ギフチョウといえば、岐阜県で新種として発見されたことからそう命名されたアゲハチョウの仲間の蝶ですが、その姿を見たことがあるという人はそれほど多くはないのではと思います。この夜学は、そのギフチョウの話で、あっという間に90分が経ちました。

 たてのさんの絵本といえば、偕成社から出ている超細密画による昆虫たちの絵本。その中の『ギフチョウ』を見たときは、この絵は熊田千佳慕さんではないかと思ったんですが、作者名を見ると「舘野 鴻」となっている。へえ、似たような絵を描く人がいるんだなあ、どんな人だろうと思ってプロフィールを見たら、「熊田千佳慕に師事」と書いてあって、納得しました。

 こんな細かい絵を描く人だからネクラで細かい性格の人なのでは、と勝手に想像していたんですが、会ってみたらなんと真逆で、大きな声でよく喋る豪放な方でした。おかげでこの夜学も楽しく、その2日後に行われたおおきな木でのトークショーも盛り上がり、子どもたちも喜んで帰って行きました。

 4年前のこのイベントは3月の終わり頃だったので、おおきな木のトークショーの前日に、舘野さんといっしょにギフチョウ探しに出かけました。場所は僕が子どもの頃から採集をしていたマイフィールドです。お天気はバッチリでしたが、春の女神ギフチョウは現れませんでした。でも、舘野さんは、イタドリハムシやらシロホシテントウなどの小さな虫をすぐに見つけて教えてくれました。そして、崖をよじ登っていったかと思うと、持っていた小型のピッケルで土を掘り始め、あっという間に光り輝くオサムシを3匹ゲットしてました。

 さて今回のトークショーは「うんこ虫とうんこオヤジを追え」(9/14 10:30〜12:00)。うんこ虫とは、うんこを食べて生きている昆虫「糞虫」のことですが、舘野さんが書かれている『うんこ虫を追え』(福音館書店)がすごいのなんの。光り輝くまるで宝石のようなうんこ虫オオセンチコガネを飼育し、生態を探り出した観察記録です。岐阜市内のマイフィールドではよく似たセンチコガネはたくさんいますが、オオセンチコガネにはなかなか出会えません。でも舘野さんの家の近くにはたくさんいるらしく、羨ましいです。

 さて、この宝石のようなオオセンチコガネを育てようとすると、鹿やら牛やらのうんこを調達してこないといけません。臭いし嫌だなあ。舘野さんも初めはそんな気持ちでしたが、だんだん慣れてくると自分のうんちで育てるのも平気になってくるみたいです。なんと野グソをし始めたとたんに、あの光り輝くオオセンチコガネが飛んできて「オレフン」をうまそうにもぐもぐ食べている姿を見て、「なんだかうれしい。虫との不思議な一体感だ」などと言ってます。

 4年間にわたって続けられたこの飼育観察。失敗を何度も繰り返しながら、途中で協力者も現れたりして、なんとか今まで解明されていなかったオオセンチコガネの生態が少し明らかになってきました。しかし、研究というのは「知れば知るほど謎が深まる」もので、「うんこ虫の探究はまだまだ道なかば。うんこの臭いにもなれたことだし、実験をつづけよう」だそうです。

おおきな木 杉山三四郎