沖縄。ここは本当に日本なんだろうか

 今年もあっという間に夏が通り過ぎて行きました。毎年のことですが、おおきな木野外塾では4つのキャンプがあり、その合間を縫って絵本ライブの公演をしと、イベントに追われて超多忙の日々を過ごすというのがここのところの僕の夏です。今年はおまけに、訳あってお盆の時期に親戚が我が家にドドっと押しかけ、滞在するという騒ぎもあり、本当に怒涛の毎日でした。

 そんな今年の夏のイベントの最後となったのが、野外塾の「沖縄ざまみツアー」。慶良間諸島の座間味島で2泊し、那覇に戻って1泊というスケジュールです。

 毎年訪れる座間味島ですが、あの青く透き通った海を見ると心が洗われます。那覇から高速船で1時間ほどの距離なのに、本島とは比べものにならない美しさです。青い海、青い空、白い雲、白い砂浜。海に潜れば、色鮮やかな魚たちと珊瑚などの海洋生物の数々。これぞ、美ら海(ちゅらうみ)。虜になった大勢のダイバーたちがこの島を訪れます。しかし、この島にも暗い過去があり、太平洋戦争末期には地獄と化した悲惨な歴史を持つ島でもあることも忘れてはいけません。島にはその歴史を刻む平和の塔があり、村長や助役を始め、大勢の島民が集団自決で命を絶ったことが記されています。

 今回の野外塾のツアーは、この島で海を堪能し、那覇で沖縄の文化に少々触れてみる旅でしたが、毎回思うのは、本当にここは日本なんだろうか、ということです。公用語は日本語かも知れませんが、独特な沖縄言葉(ウチナーグチ)がある。食べ物も独特な沖縄料理がいっぱいある。酒といえば泡盛だし、ビールといえばほとんどがオリオンビール。音楽は三線で唄う島唄。顔つきもウチナンチュは独特です。元々、遠く海を隔てて、内地とは違う歴史を辿ってきてますから、違う文化がある

 

のは当たり前なんでしょうけどね。

 また、昔からの伝統を大事にすることが文化を守ることのように一般的には思われますが、その考え方はちょっと違うということが沖縄にいると分かります。たとえば島唄とも呼ばれる沖縄民謡。昔から歌い継がれているものばかりだと思っていましたが、沖縄の知人に言わせれば違うんです。「沖縄のみんなに歌われるようになったら、それが沖縄民謡なんだ」って。だから、今のプロの歌手が歌っている新しい歌でも、ウチナンチュに愛されて、みんなが歌うようになったら沖縄民謡といえるんですね。そこがすごいって思いました。

 さて、沖縄を訪れる人たちが一度は足を踏み入れるのが那覇の国際通りですが、今やその名の通り、外国人観光客ですごいことになっています。店の案内表示は、日本語の他に、英語、中国語、韓国語で表記され、店員も簡単な会話は心得ているようです。その国際通りから一歩市場に足を踏み入れると、そこはほとんど東南アジア諸国の市場と変わらない風景が延々と続きます。物価も安くて、食べ物がとにかく安い。沖縄そばはだいたい300〜500円が普通。300円前後で手作りの弁当が買えます。生ビール2杯と刺身の盛り合わせのセットで1000円という魚屋には今回も行って感激。好きなお酒2杯とつまみが1品のセットで500円という「モーニングサービス」がある居酒屋も発見しました。

 しかし、この界隈にも外国人客は押し寄せ、観光施設の牧志公設市場もおそらく中国人と思われる団体さんに占拠されていました。席取りに関しては、日本人はどうしても彼らには勝てませんから、一本、二本違う筋に入って、穴場を探すというのが僕のおすすめです。

おおきな木 杉山三四郎