意味不明の解散、不可解な総選挙

 選挙が終わりました。そもそも今回の選挙はいったい何のための選挙だったんでしょう。そんな空虚感だけが残ってます。

 アベ軍団の殿様のツルの一声で突然解散。消費税増税分の使い道を変えたいから国民の審判を受ける? 国会の場で全く議論もされていないのに、えっ、なんでなんで? 北朝鮮のミサイル攻撃をどうするか。だから選挙? 悪いけど、意味がさっぱり分からん。

 そのアベ軍団の攻撃に立ち向かわんと準備を始めていたコイケ軍団。突然の解散に大慌てで旗揚げ。人気絶頂の女城主コイケ姫にあやかってすり寄ったのがマエハラ軍団。始めは大きな勢力になると民衆の注目を浴びたものの、「わたしの言うことを聞かない人は排除します」と恫喝されて、マエハラ軍団はいきなりつまづいて内部崩壊。踏み絵を踏めず排除された輩が続出し、それならばとエダノ軍団を旗揚げ。結果、なんとコイケ軍団を上回る勢力にはなったものの、圧倒的勢力を誇るアベ軍団が、弱小軍団の混乱に乗じてさらに勢力を増し、圧勝を許すことになった。

 とまあ、今回の選挙は簡単に言えばこういうことですが、やっぱり分からないのは、内閣不支持率が支持率を上回っていると言うのに、自民党が圧勝するということですね。集団的自衛権を認める安保法を強行採決した時とか、森友・加計問題でいい加減な答弁を繰り返していたときとかに支持率がぐっと落ちているわけだから、国民は選挙の時にちゃんとその意思表示をすべきだろうと思うのですが、できない人がたくさんいるんでしょうね。そして、他に入れるところがないからという声もあります。だから、長いものに巻かれておけばいいって考えるんでしょうか。

 また、今回は台風が直撃し、神風が自民党に吹きました。台風のせいで投票率は伸びず、戦後最低の前回をわずかに上回っただけ。出口調査で支持政党なしと答えている人の投票先は「立憲民主・共産・社民」がトップで、無党派層にはリベラル志向があると見られているだけに、低投票率は与党有利に働くわけです。

 また、比例区における自民党の得票率は30%そこそこ。なのに、三分の二近くの議席を得てしまうという小選挙区制はやっぱおかしいと思います。

 しかし、結果は結果として受け止めなくてはいけないのですが、あんなに安保法制に反対していた民進党議員の多くが踏み絵を踏んで寝返ったせいで、改憲勢力がグンと増えてしまいました。スケジュールありきではないと安倍さんは言ってますが、北朝鮮の脅威を口実に9条の改悪に手をつけ始めることは間違いないわけで、それこそ脅威です。今まで、アメリカの同盟国でありながら、アメリカが仕掛けて来た戦争に日本が軍隊を送ることなく来られたのは、9条が歯止めになっていたからだし、戦後72年、日本人は戦争に巻き込まれて誰ひとりとして殺されることなく、誰ひとりとして殺すことがなかったのは、「二度と戦争はしない」と誓った日本国憲法のおかげです。軍事力では国を守ることはできなかったという歴史から学んだ憲法なのです。なのに、今国民が長いものに巻かれていたら、その教訓も忘れ去られてしまいますよ。

 最後に安倍さんにお願いです。戦争をしないためにはまず敵を作らないこと。そして簡単に怒らないこと。北朝鮮の挑発に乗せられて頭にきているトランプさんに、ぺこぺこ頭を下げてついていかないでください。

おおきな木 杉山三四郎