映画『ワンダー』を見て感じたこと

 大変な被害をもたらした豪雨が去ったと思ったら、今度は連日の猛暑で、熱中症で倒れる人が続出。大丈夫か日本列島!という感じですね。全国的にも岐阜県は猛暑県のようで、多治見やら揖斐川やらで40℃越えも記録しています。確かに暑い。二人仲良くおててつないで下校中の高校生カップルに、「暑いね!」って声をかけたくなりましたが、ますます変なおじさんになるのでやめておきました。

 テレビもラジオも新聞も毎日「暑い暑い」の連呼。でもね、夏なんだからあたりまえでしょ、それしか話題はないのか!?って僕なんか思います。僕はこの暑い夏が好きです。海や川で泳いだり、山に登ったり、キャンプをしたり、昆虫採集をしたり、夏だからこそできるお楽しみがいろいろあるじゃないですか。逆に苦手なのは、寒い夏。熱中症予防にエアコンをどんどん使いなさいと言われますが、ちょっと冷やし過ぎじゃないかと思われるところがたくさんあります。銀行も寒い、コンサートホールも寒い、レストランも寒い。原発が稼働してなくて電力不足なんて話はウソですね。

 梅雨の真っ最中のある日、午後から雨という予報で、午前中は昆虫観察に出かけ、午後からは寒いのを我慢して映画を見に行きました。寒い冷房から身を守るために上着とマフラータオル持参です。でも、このマフラータオルが、この映画ではもうひとつ役に立つことになりました。涙でびしょびしょになったのです。

 この日見た映画は『ワンダー 君は太陽』。先月、この通信でも紹介した小説『ワンダー』(R. J. パラシオ著、中井はるの訳/ほるぷ出版)が原作となる映画です。主人公のオーガストは、『スター・ウォーズ』が大好きで、宇宙飛行士にあこがれる普通の男の子なのですが、生まれつき顔に障害があり、5年生になるまで27回も手術を繰り返し、見た目はどう見ても普通ではありません。体も弱いため、両親は学校には行かせない方がいいだろうと判断し、自宅で学習をさせてきたのですが、本人の同意を得て、5年生から学校に行かせようと決断したのです。でも、その外見のせいで、みんなから冷たい目で見られるし、いじめにも会うしで、なかなか学校にも馴染めず、自分の顔のことを嘆くばかり。でも、理科が得意だったり、ユーモアがあったりというオーガストの内面に触れることができた友だちも少しづつ増え、その友だちや先生、そして両親やお姉ちゃんの愛情に支えられて勇気を得て、5年生の修了式には大きな成長を遂げることができた、という本当にいろんな愛に溢れた映画でした。

 また、この物語の舞台はアメリカ、ニューヨークにある私立の学校なのですが、日本の学校とのギャップに僕は驚かされました。人権意識の差というかなんというか。校長先生も担任もユーモアを交えて子どもと対等に話をします。何かことが起きても、先生は助言はしても、最終的な判断は子どもにさせるんですね。ことが起きないように規則で縛って、子どもに考えることをさせない日本の学校とは随分違います。服装などもみんな自由な格好をしてるし、授業も小学校なのに選択科目があって、自分の興味に応じた学習ができるとか。

 一方、日本の学校はどうでしょう。我が子が中学の時のことを思い出します。靴も靴下も白、ベルトの幅は3㎝、シャツは綿100%はだめ、などと意味不明な規則がいろいろありました。日本の学校は、まだまだ人権意識が低いと言わざるを得ませんね。

おおきな木 杉山三四郎