300号! これも読者の方があってこそです

 「おおきな木つうしん」第300号となりました。25年と4か月で300号達成です。何事も三日坊主に終わってしまう性格の人間なのに、よくここまで続いてきたと、我ながら感心してしまいます。でもね、これもひとえにみなさんのおかげです。「いつも楽しみに読んでいます」という方が少なからずおられるので、それを励みにこの「さんしろうブログ」を書いています。

 何事も三日坊主と書きましたが、大体からして僕は広く浅くの人間で、何をやっても長く続くことがないのです。小学生の夏休みには、「今年は絵日記を毎日書くぞ」ととりあえず張り切るのですが、たいてい3日も持たずにそんな気合はどこかに行ってしまうんです。だから二学期が近づいてくると憂鬱になり、学校に行きたくない症状が発生します。

 ところが、こんな僕でも、中学2年から3年にかけて学級新聞を毎月発行したことがあります。その新聞の名前は「人間革命」。言っておきますが、某宗教団体の思想など全く知らないただのガキでしたから、その「人間革命」とは無縁であります。ただ、何となくちょっとかっこいいかも、と思いついたネーミングでした。コピー機などない時代ですから、白抜き文字で書かれた「人間革命」のロゴは毎回手書き。サイズはB4の縦で、4段組の縦書き。用紙はもちろんわら半紙で、ガリ版刷りです。

 記事の内容は、学級担任や教科担任の先生へのインタビュー、世の中のくだらないニュース(新聞の「海外こぼれ話」のような欄のパクリ)やクイズ(これもどこかからのパクリ)。そして、毎回好評だったのが、一コマ漫画。描いてくれてたのは似顔絵がうまいクラスの男子。登場人物はクラスの誰かか先生で、吹き出しに書かれたその会話を読むと、みんなが「ああ、あの事件ね」と了解できるような内容でした。その漫画がうまい同級生は、若くして油絵の画家としてデビューして、今も巨匠として活躍しています。

 ま、そんな学級新聞でしたが、2年間続けられたのは、まずクラスのみんなが面白がって読んでくれたからであり、先生に忖度することなく、自由に作っていたからではないかと思います。どんなに歌がうまい歌手でも、聴いてくれる人がいなくては成り立たないのと同じで、どんな表現媒体でもそれを受けてくれる人がいて初めて成り立つ訳ですからね。

 夏休みももう終わってしまいましたが、毎年この時期には、「読書感想文が書きやすい本はないですか?」というご質問を受けることががときどきあります。これってなかなかの難問でして、「この本を読めば書けます」と自信を持ってお勧めできる本はないのです。その子が読みたいと思える本に出会えるかどうか、結局はそこですからね。そもそも読書感想文を宿題にするというのはいかがなものでしょう。読み終わって、面白かったとか、つまんなかったで終わって、それでいいんじゃないか。何か書かなくてはいけないと思って読むのはつらいんじゃないかと、僕自身も読書感想文を書いた記憶がほとんどないので思います。

 でも中には上手に書く子もいるし、読書感想文が好きだったと言う人にも会ったことがあります。たぶんそういう人は、読み手を想定して文章が書けるんでしょうし、その人の受けを狙うことができるか、感じたことを素直にさらけ出してしまっていいと思えるか、ができる人なんじゃないかと思います。

おおきな木 杉山三四郎