コロナコロナの1年を振り返って

 明けましておめでとうございます。といっても、この文章を書いているのは年の瀬で、「今年はコロナコロナで明け暮れてしまったなあ」と、あっという間に駆け抜けた1年をしみじみと振り返っております。

 1年前には、中国武漢で新型のウイルスが流行り始め、「日本にやってこなければいいけどなあ」などと、対岸の火事を見て祈ってましたが、あれよあれよという間に日本どころか世界中に広がってしまいました。

 2月に入って、埼玉県の図書館や保育園で絵本ライブの出張公演をしていましたが、2月後半になると、3月以降に決まっていた各地での「さんしろう絵本ライブ」の公演が次から次へとキャンセルとなり、初めて訪れる場所もいくつかあったのに、残念で仕方ありません。でも、まだその頃には、暑くなれば収まってくるだろう、そうなればまた声がかかるのでは、などと楽観視していました。ところがところが、未だ収まる気配がありません。自然の猛威に打ち勝つのは容易なことではないんですね。

 おおきな木発足以来ずっと続けてきた「ことば塾」と「野外塾」も休止を余儀なくされました。とくに野外塾は大勢の会員を抱えているだけに、先行き不安の中でどう判断をしていったらいいのか悩みました。しかし、野外塾は野外での活動だから密閉空間ではないので感染リスクは低いのではということで、緊急事態宣言が解除されるのを待って再開しました。

 とは言っても親御さんたちの不安が消えたわけではないので、どれぐらい活動に参加してもらえるのか全く未知数でしたが、5月31日に延期していた「春のデイキャンプ」には、雨だったにも関わらず大勢の参加者があり、嬉しくもあり、驚きでもありました。自宅にこもりっきりだった子どもたちは、待ってましたとばかり、秘密基地で大はしゃぎ。大きなブルーシートを雨よけに張ると、それに大喜び。テントの下で踊り始める子もいれば、テントから落ちる雨水でグチョグチョになった泥に入って遊び始める子もいるし、ロープコースを作ったら群がるし…。焚き火ではいろんな料理もしました。年に数回やるデイキャンプですが、この日はいつまでも記憶に残るデイキャンプになりました。

 このデイキャンプの後、いくつかの泊りがけプログラムは中止にしましたが、恒例の無人島キャンプなどは実施しました。がらがらの新幹線で岡山に向かったのをよく覚えています。島に渡ってしまえば「密」になることはまずないのですが、行き帰りはちょっと心配、と思ってましたが、全然大丈夫だったわけです。島ではいちおうテントは張るものの、テントで寝る子はほとんどなくて、みんなは星空を仰ぎながら外で寝ています。大声でしゃべったり歌ったりはしていましたが、紫外線を浴びて遊びまくることは、何よりもの予防策なのではないかと思います。

 秋以降のデイキャンプやいも煮会も大勢参加してくれました。子どもだけでなく大人の参加率も高かったです。「このコロナの中で、野外塾があって本当に良かったです」と何人かのお母さんに感謝していただき、本当に嬉しかったですが、主催する我々も、改めてこういう野外活動の大切さを噛み締めています。

 まだまだマスクを外せる状況ではありませんが、紫外線を浴びて遊ぶこと、笑うこと、美味しいものを食べること、お風呂で体を温めることなど、免疫力を高めることがまず大事だと思っています。

※写真は、5月31日のデイキャンプ

おおきな木 杉山三四郎