大家族の中で育つ子どもたち おおきな木野外塾

 今年は岐阜市内でも新年早々雪が積もりました。関市内の保育園で絵本ライブを終えると、パラパラと雪が舞ってきて、子どもたちは大喜びで園庭に飛び出していきました。子どもって雪が大好きですよね。僕も、子どもの頃は、朝起きて雪が積もっていると心が踊ってましたからね。子どもの特権です。

 雨でもそうです。水たまりができると、大人は避けて歩くのに、子どもはわざわざバシャバシャと入って遊びますからね。野外塾でもそうです。テントの屋根に溜まった雨水を浴びてはしゃいだり、泥んこの中にわざわざ足を突っ込んだりして遊んでますからね。時には、泥んこの山の斜面をお尻で滑って遊んでいたこともありました。アンビリーバブルです。

 でも、こういったことは一人っきりでもやるんでしょうか。やる子もいるかも知れませんが、たぶんみんなでやるからエスカレートしていって楽しくなるんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

 おおきな木では、自然の中で思いっきり遊びたいという思いで、27年にわたって野外塾を続けてきました。昨年は、新型コロナの影響で春の活動が中止になったりしましたが、その後は毎月のプログラムをほぼ予定通り続けてきました。ウイルス感染の心配がないわけではありませんが、自然の中で遊んでいる限り、三密は避けられるわけで、子どもたちは弾けてます。

 長年続けてきていつも思うことは、「子どもって群れで育つんだなあ」ということです。野外塾は、何をしてても基本は自由ですから、野に放たれた子どもたちは、一日山の中の秘密基地でみんな好きなことをして過ごしています。落とし穴を掘り始める子、ロープコースやブランコで遊ぶ子、ひたすら何かを拾っている子、汗びっしょりで鬼ごっこをしてる子、水で遊ぶ子、生き物に夢中の子、隠れ家を作る子、たき火のそばから離れない子、みんないろいろ。自然の中には子どもたちの興味をそそるものがたくさんあるんです。

 野外塾では上下関係は全くないので、お互いの学年など気にしてないみたいで、ただ自分の興味で動いていた時にそばにいた子と自然に繋がりができます。お互いを〇〇さんと苗字で呼び合っているところはあまり見たことがなく、たいてい下の名前で呼び捨てで遊んでいます。ずっと年上の子に対しても呼び捨てですが、憧れの友だちでもあります。そして、年上の子たちは小さい子たちの面倒もよく見てくれて、遊ぶ時には年下の子もちゃんと誘ってくれたりします。いろんな生き物や食べられる植物に出会ってどうしたらいいのか分からなくても、お互い教えあったりしてるんですね。僕も今までの人生の中で学んできたことを、子どもたちにおもしろく伝えることはしてますが、子ども同士で学んでいくことも多いのではないかと思います。

 そして、子どもだけでなく、大人同士もいい関係ができているように思います。近年はお父さんの参加も多くなりました。父親の子育て参加が増えて、お父さん同士も話が合うんでしょうね。子どもたちといっしょになって遊んでくれるお父さんやお母さんもいて、自分の子だけでなく、よその子も巻き込んでもらえるのはとてもありがたいことです。多くても月に一度会う仲間たちですが、なんか大家族のような気がします。

 野外塾では、いつの頃からか、僕は「三ちゃん」と呼ばれていますが、共に参加している妻共々、友だちだったり、家族の一員と思っていただければ本望です。

おおきな木 杉山三四郎