自由かつ多様な五輪開会式だったけど…

 いよいよ東京オリンピックが始まりました。7月23日、夜8時に始まった開会式、ご覧になられましたか? 統一感がないとかといった感想もありましたが、各分野のプロフェッショナルたちの力が結集されたパフォーマンスがどれも面白かったし、一糸乱れず行われるどこかの儀式とはまるで違って、バラバラ感がまた良かったのではないかと思ってます。

 中でも面白かったのは、50種目の競技のピクトグラムを2人の身体表現で表すパフォーマンス。アイデアはもちろんのこと、ここにもバタバタ感があって良かったです。すごいと思ったのは、1824台の発光するドローンを使って会場の夜空に巨大な球体を描いたやつ。シンボルマークから地球へと変化していきましたが、ドローン同士がぶつかったりはしないだろうかとヒヤヒヤして見てました。どうやって制御してるんでしょうね。

 選手の入場も延々と続いて、途中で居眠りしてしまいましたが、これも面白かったです。派手な民族衣装で目を引く国もあれば、旗手がトップレスで肉体美を見せつけている国もあったり、整然と歩くような国はほとんどなくて、自由かつ多様でいいなあと思って見てました。また、こんな国や地域があったんだと新発見があったり、国名が変わってたんだーといった国もあり、いい勉強にもなりました。

 翌日の野外塾(当店主催)に参加した子どもたちも開会式は見てたようですが、時間が遅くて最後まで見せてもらえなかったと嘆いていた子もいました。暗くならないと意味がないパフォーマンスなので、こういう時間帯になったんだと思いますが、天皇陛下のあいさつは数十秒で終わったのに、その他のお偉方のあいさつが十数分もあったりして、予定より随分延長してしまったとか。ここまでたどり着くまでが大変だった五輪だけに、ま、仕方ないかとも思うんですが、もっと空気を読んでいただかないとダメでしょうね。

 それにしても、今回の五輪、またそれに続くパラリンピックはいろいろゴタゴタがありました。大会エンブレムの盗作疑惑、新国立競技場の当初の設計が巨額の予算オーバーで白紙撤回になるとかに始まり、今年になって組織委員会会長が男女差別発言で辞任するという騒動もありました。他にも人権意識に欠ける行動をしていた開会式の演出関係者が続々辞任しました。情けない話ですが、それでもちゃんと開会式ができたというのは彼らの存在はそれほどでもなかったのかも…。

 個人的にはスポーツは見るのもやるのも大好きで、4年に一度のオリンピックも毎回テレビ観戦を楽しんでいますが、今回は「祭典」としていまひとつ喜べない複雑な思いがあります。新型コロナウイルス感染が再拡大しているという状況で、国民の大半が中止または延期を求めるなか強行されたのはどうしてでしょうね。そもそもを辿ってみると、原発事故の放射能問題を心配する各国を相手に、「完全にコントロールされている」と宣言して東京に誘致して「復興五輪」と言ってみたり、「コロナに打ち勝った証拠として」といった美辞麗句を並べてみたり。いったい何を根拠に言ってんだろと思いませんか? 違和感だらけです。

 無観客で、各国の選手団、ご来賓、スタッフなどみんなマスクをして参加するという異様な開会式でしたが、今の世情を象徴する歴史に残る大会となることには間違いありません。何はともあれ、始まった以上、選手たちを応援し観戦を楽しみたいと思います。

おおきな木 杉山三四郎