歌って笑って…、免疫力をつけましょう!

 先月に引き続き、10月発刊の新しいCD「杉山三四郎絵本をうたう⑤ 笑おう!」の話になりますが、お付き合いください。

 このアルバムのタイトル曲『笑おう!』(作詞・作曲:杉山三四郎)ですが、3年ほど前、コロナ禍で作った歌です。この年、新型コロナウイルスが日本にも上陸し、各地でクラスターが発生。緊急事態宣言が出るわ、全国一斉に学校が休校になるわ、有名人がコロナで亡くなるわで大騒ぎ。楽しみにしていた僕の公演活動はすべてキャンセル。主催行事はやっても人が集まらないので何もできず。店も閑散として、この先食べていけるんだろうかと不安な毎日を過ごしてました。

 当店主催の野外塾も緊急事態宣言が解除されるまで活動が制限され、解除直前の5月31日に、延期されていたデイキャンプを行いました。この日のキャンプは今でも忘れはしません。朝からずっと雨だったにもかかわらず大勢来てくれたんです。家にずっと閉じこもっていた子たちがストレスを発散しました。みんな楽しみに待っていてくれたんですね。さすがは野外塾生。涙が出るほど嬉しかったです。この年は特例で中途退会も受け付けたんですが、やめられた方はほんの数名でした。

 その後、野外塾は沖縄ツアー以外のプログラムは予定通り行いました。野外の活動だし、いわゆる「三密」ではないので、マスクをしたり消毒をしたりなどの注意をしながら続けました。考えてみたら、感染症と言われる病気は何もコロナだけではないし、人間の生活圏はウイルスや雑菌だらけです。だからといって家に閉じこもってばかりいたらどんどん体が弱ってしまいます。病気に勝つために一番重要なことは何かと言えば、自己免疫力をつけることです。ストレスを溜めないように、「食う、寝る、飲む、出す」。お風呂で体を温める。そして、紫外線を浴びて遊ぶことと、仲間と楽しい時間を過ごして笑うことが大事です。くよくよしてばかりしてないで、前を向いて歩いて行こう! そんな気持ちを鼻歌で歌ってできた歌が『笑おう!』でした。

 さて、今回のCDですが、収録した10冊の絵本はどれもユーモアに溢れたものばかり。作者の遊び心が詰まっています。

 たとえば『ブロロンどろろん』(高畠那生作/小学館)。道にこぼれていたペンキが車で飛び散って、歩いていた人の影が壁に現れるなんてことは実際起こるわけないんだけど、絵本になると起きてしまう。現実味があるというか…? あったらおもしろいだろうな、という気持ちがリアリティを生んでるんでしょうね。

 そして『うし』(内田麟太郎作、高畠純絵/アリス館)。「牛」と「後ろ」をかけて、牛がエンドレスでつながっていくという強烈(?)なイメージを作ってしまったんですね。言葉で遊びまくっている麟太郎さんのほくそ笑いが聞こえてきそうな絵本です。これを絵本にしてしまった純さんはすごいと言わざるを得ません。

 その他の絵本も遊び心が詰まっていて、録音では、編曲をしてくれた野々田万照さんやコーラスを担当してくれた清水千華さんが自在に遊び心を発揮して本当に楽しいアルバムになっています。また、濃厚なさんしろうファンである「ことば塾」の子たちも録音に参加してくれて、元気に弾けています。僕のCDはご家庭や保育現場で使われていることが多いですが、今度はみなさんの遊び心を発揮していただいて、歌って、踊って、笑って、自在に絵本を楽しんでいただければと思います。

おおきな木 杉山三四郎