大人と子どものいい関係を作っていきたい

 おおきな木は絵本屋です。絵本屋ですが、童話、図鑑、紙芝居、おもちゃもあります。絵本屋ですが、歌も歌います。絵本屋ですが、子ども本位の活動「ことば塾」「野外塾」を続けています。ま、いろいろやってますということですが、決してちゃらんぽらんな訳ではなく、どれも根っこは同じ思いでやってます。

 では、なんで絵本屋をやろうとしたのか。よく聞かれます。ずーっと言ってきたのが、「大人と子どものいい関係を作りたい」という思いから始めた、ということです。親と子が、感動体験を共にする時間をできるだけ持ってほしい、そんな気持ちです。その体験は子どもの心にずっと宿り続けるし、親の方も子どもが育ってからもいい思い出となって残っています。言うまでもないとは思うのですが、絵本を親子で楽しむ時間は一つの感動体験です。だから「絵本」なのです。

 僕は30年以上にもわたって子どもたちに絵本を届けてきましたが、絵本の魅力は何と言っても「生の言葉で繋がるふれあいツール」であるということです。絵本は他の書籍とは違って、複数の人数で楽しむことができます。読み手と聞き手、ときにはそのどちらでもある場面もありますが、声に出して読むことによって、ちょっとしたお芝居のようなライブ感が生まれます。

 「ことば塾」は絵本や工作を親子で楽しむ場ですが、昨年から土曜日開催に変更したことで、お父さんの参加もあったりで、父子のふれあいも微笑ましく見ています。そして、「野外塾」は子どもだけで参加する子もいますが、親子で自然を楽しむ場です。毎回のプログラムが大家族のように盛り上がっています。どちらも、大人と子どものいい関係が生まれているように思います。絵本やこんな活動の場があったおかげで、僕自身も、そして共に働いてきた連れ合いもいろんな繋がりができたのは間違いありません。

 絵本がふれあいツールであることは実感としてあることですが、もちろんそれだけではありません。その効用はいろいろあります。子どもの夢を育むとか、想像力が育つとか、表現力や言語能力が育つとか、列挙したらきりがありません。でも、それらは後からついてくるものであって、それらを狙って絵本を使うというのはいかがなものかと思います。まずは気に入った絵本を見つけて、それを一緒に読む。これだけです。親子で好みが違うことも往々にしてありますが、親は親で気に入った絵本を読めばいいし、子どもが選んだ絵本も、「そんなのは赤ちゃんが読む本でしょ」などと否定しないで読んでみる。意外な発見があるかもしれないし、相手を理解するきっかけにもなります。考えてみたら、絵本に限らず、子育て全般に言えることかもしれません。

 そして、子どもが成長してくると、身の回りのことや世の中のことにも関心を持つようになります。そんな子どもたちには伝えていきたいメッセージがあります。少し話はそれてしまうのですが、僕の場合、それは「命の大切さ」です。一人ひとりがかけがえのない命を持っています。戦争によってその命が軽んじられるようなことになってはいけません。日本は戦争放棄を謳った平和憲法を持っています。どんなことが起きようが武力行使はしません、ということを世界中に向かって堂々と宣言していくことが、一番の安全保障なのではないかと思います。平和って何でしょう。作家さんたちもそんなメッセージを発している方がたくさんありますが、それを手渡してくのは書店の役割ですからね。

おおきな木 杉山三四郎