「子ども本位」 草潤中学とおおきな木野外塾

 「おおきな木」がある岐阜市には、草潤中学という自由な学校があります。2021年4月に開校したばかりの新しい学校ですが、全国の教育関係者に注目されている「学びの多様化学校」という特例校です。以前は「不登校特例校」と呼ばれていて、小学校の時に不登校になっている子たちのために設置された学校です。この草潤中を教育ジャーナリストの佐藤明彦さんが2024年秋から約半年をかけて取材された本『風穴をあける学校──不登校生が通う特例校』(時事通信社刊)が昨年夏に発刊され、読んでみました。

 「学校らしくない学校」と筆者が指摘されているように、一般の中学校とは真逆の発想で運営されています。その特徴を簡単に挙げると、

 ・服装は自由、頭髪などの規則もなし

 ・担任は生徒が指名して決定

 ・行事はすべて生徒が企画

 ・授業は教室で受けても

  オンラインで自宅で受けてもOK

 ・登校後、授業に出なくてもOK

 一般の中学はというと、世の中の常識に照らしても理不尽だと思えるような規則がまかり通っています。我が子の時代を振り返ってみても、靴の色は白でなければダメとか、ベルトの幅は3cm以内とか、ワイシャツは綿100%はダメとか、意味不明なものばかり。中には服装検査までする学校もあるみたいで、人権侵害もいいとこです。こうした理不尽な規則を厳しく押し付けてるような学校では、子ども同士の関係性もぎくしゃくして、その結果いじめも起きるし、当然不登校も増えます。

 ですが一人ひとりの個性を大切にする草潤中では教師と生徒は信頼関係で結ばれ、こうした問題は無縁です。草潤中の理念が一般の学校にも浸透していけば、日本の学校教育は大きく変わるのではと期待しています。

 さて話は変わって、手前味噌ではありますが、おおきな木が開店以来続けて来た「野外塾」の話もさせてください。野外塾も自由な塾を標榜してやってきました。小学校などで校外学習があると、規則やめあてや時間割が決められ、みんなで力を合わせてやっていこう、といったことになります。野外塾にはめあても時間割もありません。あるのは、子どもたちが自由に遊べる「時間」、子どもたちの好奇心を満たしてくれるような「空間」、そして、それを共に体験できる子どもや大人たちの「仲間」。僕は、これらを「三つの間」と呼んでいますが、それを用意しているのが野外塾です。

 ちょっと考えてみていただきたいのですが、学校における規則やめあてや時間割といったものはすべて大人の価値観によるものであって、子ども本位ではありません。子どもも一人一人みんな違うのに、同じ価値観を押し付けようとしているわけです。野外塾では、自然環境にみんなを連れて行って解散時刻まで「放し飼い」ですが、自然を楽しむ仕掛けはいろいろと用意して行きます。でも、どれも強制ではありません。

 一日の活動が終わると、みんな「楽しかったー」と言って帰って行きますが、楽しい経験からこそ、子どもも大人も学ぶことは多いと思います。自然の不思議、友だちの大切さ、生きる力、体力、……、そして、野外塾を通して自分がやりたいことを見つけて卒業(?)して行った子たちもたくさんいます。

 今も「毎日野外塾だったらいいのになあ」なんて言ってる子がいますが、さてそれはどうなんでしょうね?

おおきな木 杉山三四郎