先日、ちょっと用があって日帰りで上京し、国立科学博物館に行ってきました。特別展「超危険生物展」が開催中でしたがそれはパスして、企画展「かこさとしの科学絵本」を見てきました。ご存命であれば今年が生誕100年で、それを記念しての展覧会でした。
かこさとしさんといえば、『だるまちゃんとてんぐちゃん』(福音館書店)のシリーズや、『からすのパンやさん』(偕成社)などのユーモアいっぱいの絵本がおなじみですが、地球や生き物の不思議に誘ってくれる科学絵本もたくさん描かれています。かこさんが生涯に出版された絵本は約600冊で、そのうち200冊が科学絵本だそうです。今回の展示は、その代表作の原画展示や各分野の専門家の方たちの解説もあり、かこさんの科学絵本にますます引き込まれる内容でした。
かこさんの科学絵本は、1962年に発刊された『かわ』(福音館書店)に始まります。会場には、この絵本の全ページをつなげて約7mの絵巻じたてになっている『かわ』(2016年発刊)が展示されていました。源流域に降った雨や雪、湧水や湖の水が集まって谷川となり、険しい渓谷を流れ、やがて人々が暮らす中流域へ。そして、だんだん川幅が広くなって下流域となり、広い広い海へと注ぐ、長大な川の旅。川は人々の暮らしと深く結びついていて、飲み水や農業用水になるし、水力発電で電力も作ります。そんな様子も細かく描かれていて、ジオラマを見るようなワクワクした気分になれる絵本です。地図好きの子たちにも超おすすめです。
そして、かこさんの科学の目は、身近な川から、海、地球、宇宙、人間へと広がり、それぞれ1冊の絵本になって出版されているわけですが、その科学的知識はじつに多岐にわたっていて、驚きです。東京大学応用化学科を卒業し、工学博士や技術士の資格も持っておられて、単なる絵本作家ではないのです。今回の展示では触れられていないのですが、紙芝居や子どもの遊びなども研究されていて、分野は理系だけにとどまりません。
かこさとし展を見て、宇宙や地球や人間の歴史に心奪われて、その後、国立科学博物館の常設展も一通り見てきました。地球館では、138億年前の宇宙誕生、46億年前の地球誕生、2億3000万〜6600万年前の恐竜時代、そして、ヒトが生まれた700万年前、現代人に繋がるホモ・サピエンスが誕生した20万年前、と時系列に生き物の化石や隕石などが展示されています。
何億年といわれてもピンときませんが、この138億年を地球の1年に換算してみると、唸らざるを得ません。ビッグバンは1月1日、太陽系ができたのが9月1日、地球に酸素が現れたのが10月29日、生物が出現したのが11月13日、昆虫の出現が12月18日、恐竜の出現が12月25日、絶滅は30日、そして人間はというと、類人猿から分化したのが12月31日の20:31で、ホモ・サピエンスの出現は23:47。古代文明が現れて現代に至る人類の歴史は、1年の最後の10秒ぐらいの話なんですね。
国立科学博物館を後にして向かったのは、第57回講談社絵本賞の授賞式。2026年度の受賞作は、『ある星の汽車』(森洋子作/福音館書店)でした。空間ではなく時間を移動する汽車に乗っているのはお父さんと男の子ですが、まわりのお客さんは今までに絶滅した動物や絶滅が危惧されている動物たち。「1681」と書かれた駅で降りたのはドードー鳥。下車は絶滅を意味してるんですね。その後も続く「下車」。いったい人間はいつまでこの汽車に乗っていられるんでしょうね。
おおきな木 杉山三四郎





