「自然の中で思いっきり遊びたい」、そんな思いで始まったおおきな木野外塾。2026年4月から第33期を迎えます。
この間、毎年100人ほどの子どもたちが会員となり、岐阜市周辺の野山などを舞台にさまざまなあそびをくりひろげてきました。木登りやターザンごっこをしたり、昆虫採集をしたり魚やカニを捕まえたり、草花あそびをしたり、野草を料理して食べたり、たき火でパンを焼いたり、つるでリースやかごを作ったりと、子どもたちの楽しみ方は十人十色。時には、サバイバル体験、シュノーケリング、磯遊び、雪遊びなどをしに遠くまで足をのばしたりもします。また、プログラムによって、その道の達人やリーダーのお兄さんやお姉さんも加わります。もちろん親子での参加も大歓迎です。
第33期2026年度の会員募集は締め切らせていただきました
●活動日
・日帰りの通常プログラム(原則として日祝日)
※通常は岐阜市内およびその近郊で行います
・キャンプなどの特別プログラム(年数回)
●対象年齢
年長児以上、中学生まで
※高校生以上は、Yフレンドとして登録して各行事に参加することができます。詳しくはYフレンド制度の資料をご請求ください。
●初回納入金……入会時にお支払いください
入会金 3,300円(兄弟2人目からは不要)
年会費 19,800円
●年会費の割引制度
次に該当する会員は、年会費13,200円
1. 一世帯3人以上の会員は3人目から
2. 過去の在籍5年以上の会員は6年目から
●各行事への参加費……参加申込時にお支払いください
日帰りの通常プログラム
会員 一人4,000円 会員父母、祖父母、年長児未満の兄弟 一人2,000円
キャンプなどの特別プログラム
各プログラムごと別途参加費を設定します。
「おおきな木」がある岐阜市には、草潤中学という自由な学校があります。2021年4月に開校したばかりの新しい学校ですが、全国の教育関係者に注目されている「学びの多様化学校」という特例校です。以前は「不登校特例校」と呼ばれていて、小学校の時に不登校になっている子たちのために設置された学校です。この草潤中を教育ジャーナリストの佐藤明彦さんが2024年秋から約半年をかけて取材された本『風穴をあける学校──不登校生が通う特例校』(時事通信社刊)が昨年夏に発刊され、読んでみました。
「学校らしくない学校」と筆者が指摘されているように、一般の中学校とは真逆の発想で運営されています。その特徴を簡単に挙げると、
・服装は自由、頭髪などの規則もなし
・担任は生徒が指名して決定
・行事はすべて生徒が企画
・授業は教室で受けても
オンラインで自宅で受けてもOK
・登校後、授業に出なくてもOK
一般の中学はというと、世の中の常識に照らしても理不尽だと思えるような規則がまかり通っています。我が子の時代を振り返ってみても、靴の色は白でなければダメとか、ベルトの幅は3cm以内とか、ワイシャツは綿100%はダメとか、意味不明なものばかり。中には服装検査までする学校もあるみたいで、人権侵害もいいとこです。こうした理不尽な規則を厳しく押し付けてるような学校では、子ども同士の関係性もぎくしゃくして、その結果いじめも起きるし、当然不登校も増えます。
ですが一人ひとりの個性を大切にする草潤中では教師と生徒は信頼関係で結ばれ、こうした問題は無縁です。草潤中の理念が一般の学校にも浸透していけば、日本の学校教育は大きく変わるのではと期待しています。
さて話は変わって、手前味噌ではありますが、おおきな木が開店以来続けて来た「野外塾」の話もさせてください。野外塾も自由な塾を標榜してやってきました。小学校などで校外学習があると、規則やめあてや時間割が決められ、みんなで力を合わせてやっていこう、といったことになります。野外塾にはめあても時間割もありません。あるのは、子どもたちが自由に遊べる「時間」、子どもたちの好奇心を満たしてくれるような「空間」、そして、それを共に体験できる子どもや大人たちの「仲間」。僕は、これらを「三つの間」と呼んでいますが、それを用意しているのが野外塾です。
ちょっと考えてみていただきたいのですが、学校における規則やめあてや時間割といったものはすべて大人の価値観によるものであって、子ども本位ではありません。子どもも一人一人みんな違うのに、同じ価値観を押し付けようとしているわけです。野外塾では、自然環境にみんなを連れて行って解散時刻まで「放し飼い」ですが、自然を楽しむ仕掛けはいろいろと用意して行きます。でも、どれも強制ではありません。
一日の活動が終わると、みんな「楽しかったー」と言って帰って行きますが、楽しい経験からこそ、子どもも大人も学ぶことは多いと思います。自然の不思議、友だちの大切さ、生きる力、体力、……、そして、野外塾を通して自分がやりたいことを見つけて卒業(?)して行った子たちもたくさんいます。
今も「毎日野外塾だったらいいのになあ」なんて言ってる子がいますが、さてそれはどうなんでしょうね?
おおきな木 杉山三四郎
おおきな木は絵本屋です。絵本屋ですが、童話、図鑑、紙芝居、おもちゃもあります。絵本屋ですが、歌も歌います。絵本屋ですが、子ども本位の活動「ことば塾」「野外塾」を続けています。ま、いろいろやってますということですが、決してちゃらんぽらんな訳ではなく、どれも根っこは同じ思いでやってます。
では、なんで絵本屋をやろうとしたのか。よく聞かれます。ずーっと言ってきたのが、「大人と子どものいい関係を作りたい」という思いから始めた、ということです。親と子が、感動体験を共にする時間をできるだけ持ってほしい、そんな気持ちです。その体験は子どもの心にずっと宿り続けるし、親の方も子どもが育ってからもいい思い出となって残っています。言うまでもないとは思うのですが、絵本を親子で楽しむ時間は一つの感動体験です。だから「絵本」なのです。
僕は30年以上にもわたって子どもたちに絵本を届けてきましたが、絵本の魅力は何と言っても「生の言葉で繋がるふれあいツール」であるということです。絵本は他の書籍とは違って、複数の人数で楽しむことができます。読み手と聞き手、ときにはそのどちらでもある場面もありますが、声に出して読むことによって、ちょっとしたお芝居のようなライブ感が生まれます。
「ことば塾」は絵本や工作を親子で楽しむ場ですが、昨年から土曜日開催に変更したことで、お父さんの参加もあったりで、父子のふれあいも微笑ましく見ています。そして、「野外塾」は子どもだけで参加する子もいますが、親子で自然を楽しむ場です。毎回のプログラムが大家族のように盛り上がっています。どちらも、大人と子どものいい関係が生まれているように思います。絵本やこんな活動の場があったおかげで、僕自身も、そして共に働いてきた連れ合いもいろんな繋がりができたのは間違いありません。
絵本がふれあいツールであることは実感としてあることですが、もちろんそれだけではありません。その効用はいろいろあります。子どもの夢を育むとか、想像力が育つとか、表現力や言語能力が育つとか、列挙したらきりがありません。でも、それらは後からついてくるものであって、それらを狙って絵本を使うというのはいかがなものかと思います。まずは気に入った絵本を見つけて、それを一緒に読む。これだけです。親子で好みが違うことも往々にしてありますが、親は親で気に入った絵本を読めばいいし、子どもが選んだ絵本も、「そんなのは赤ちゃんが読む本でしょ」などと否定しないで読んでみる。意外な発見があるかもしれないし、相手を理解するきっかけにもなります。考えてみたら、絵本に限らず、子育て全般に言えることかもしれません。
そして、子どもが成長してくると、身の回りのことや世の中のことにも関心を持つようになります。そんな子どもたちには伝えていきたいメッセージがあります。少し話はそれてしまうのですが、僕の場合、それは「命の大切さ」です。一人ひとりがかけがえのない命を持っています。戦争によってその命が軽んじられるようなことになってはいけません。日本は戦争放棄を謳った平和憲法を持っています。どんなことが起きようが武力行使はしません、ということを世界中に向かって堂々と宣言していくことが、一番の安全保障なのではないかと思います。平和って何でしょう。作家さんたちもそんなメッセージを発している方がたくさんありますが、それを手渡してくのは書店の役割ですからね。
おおきな木 杉山三四郎
9月に引き続き、先日ふたたび絵本作家のたてのひろし(舘野 鴻)さんがやってきました。今回は、名古屋市科学館で開催中の「特別展 昆虫MANIAC」で「うんこ虫を追ってみた」という講演をして、その次の日に「おおきな木野外塾」に参加してもらいました。
野外塾の説明をしていたら長くなるので省きますが、いつも自然の中で奔放に遊んでいる子どもたちは、たてのさんのような「変なおじさん」が大好きなので喜ぶだろうし、たてのさんもきっと野外塾が気に入ってくれるんじゃないかと思っていたところでした。
この日の野外塾は一応プログラムがあって、午前中は「もりのビンゴゲーム」、お昼は、みんなで持ち寄った焚き火料理、午後は冬の虫さがしとなってます。「もりのビンゴゲーム」は、普通のビンゴカードの数字のマスが、すべて植物の花や実や葉っぱなどの写真と名前になっていて、森の中を駆け巡ってそれらをさがして、見つかった植物のマスがタテ、ヨコ、ナナメに5つそろったらビンゴになります。ビンゴになると子どもはクリスマスプレゼントがもらえるというのもあって、親も子もいっしょになってみんな頑張ります。制限時間は60分でしたが、ほとんど、ビンゴ〜達成!でした。
ビンゴが終わり、子どもたちが中心になって焚き火の火起こしを始めたころ、やってきたのはたてのさんと相棒の絵本作家 近藤えりさん。予想通り子どもたちは気楽にたてのさんに声をかけてるし、たてのさんも知らないうちに焚き火の輪に入っていてみんなに馴染んでいます。この日のお昼は、みんなそれぞれ好きな食材を持ち寄って焚き火で焼いたり煮たりして食べるという「持ち寄り自己責任焚き火料理(?)」です。たてのさんは、前日の夜に食べきれなかったというネパールのカレーを温めて食べ始め、それに、さっき採ってきたというクワガタの幼虫も焼き始めました。要するに白いイモムシ。お味の方はというと、スモークチーズみたいだそうです。ちょっとした昆虫食ブームですが、中でもカミキリムシの幼虫は美味しいらいしいです。クワガタも似たようなものなんで美味しいんでしょう。みんなが口にできるくらい採れれば言うことないんですけどね。
そこで、午後はたてのさんにくっついてイモムシ掘りに出かけました。狙うはコナラやアベマキなどの朽ちた広葉樹。ツルハシで豪快に割って、そこからシャベルなどで丁寧に掘っていくと、何かしら生き物に出っくわします。アリやシロアリの大群、ムカデやヤスデの仲間、そして、小さな小さな生き物たち。白いものが出てきたら、クワガタやらコガネムシの仲間です。タマムシやカミキリもいます。でも、今回は「食べよう」と言い出す子はいなくて、大切に家に持ち帰りました。
たてのさんは今度は崖にへばりついて土を掘り始めました。狙うはオサムシです。彼はオサムシ大好き少年だったそうで、見た目では素人には違いがほとんど分からないんだけど、いろんな種類がいるんですね。交尾器の形の違いなどで見分けるんだそうです。
たてのさんの絵本といえば、まずは超細密画による昆虫のシリーズ(偕成社)。でも、メジャーな昆虫はギフチョウぐらいで、あとは、『シデムシ』『ツチハンミョウ』『ガロアムシ』と、お馴染みではないものばかり。しかし、その小さな虫たちの一生はどれも怪奇で不思議なことばかり。奇跡をかいくぐって命を繋いでいるその生き様は本当に凄いというしかありません。僕は、たてのさんの絵本を開くたび、ほぉーっと唸ってます。
おおきな木 杉山三四郎
昔々、僕は北信の雪国に住んでいたことがあります。二十歳をちょっと過ぎたころでした。アパートなどない小さな町なので、ちょっとしたきっかけでお知り合いになった、駅の近くに住むUさんという方のお宅に間借りをすることになりました。Uさんは山奥の小さな小学校で先生をされていて、クロスカントリースキーを子どもたちに教えておられました。僕はクロスカントリースキーはほとんどやりませんでしたが、そのUさんご夫妻には「山の恵み」をいろいろと教えてもらいました。
雪解けの5月ごろになると周囲は山菜の宝庫。タラの芽、ゼンマイ、ウドなどを求めて、その小さな町の人たちは山に出かけて行きます。山菜などまったく縁がなかった僕でしたが、Uさんご夫妻が一緒に行きませんか、と誘ってくれました。しかし、初心者にはどれが美味しい山菜なのか判別は難しく、ご夫妻がカゴいっぱいに何かを摘んでおられるのをただただ感心して見ていました。でも、竹の子(ネマガリダケ)狩りは初心者でも分かりやすくて、僕もついつい夢中になってしまい、迷子になりそうになったことがあります。
そして、秋になるときのこ狩りです。Uさんが勤めておられた学校は大きな湖に面した山の中にあり、この付近がきのこの山なんですね。一度だけでしたが誘っていただきました。竹で編んだカゴを渡され、3人で山に分け入りました。道などほとんどありません。でも、先生たちが進んでいく先にはきのこの群落があったりするのです。ナメコ、ムラサキシメジ、シモフリシメジ、あと、アカなんとかという名前のきのこなどを覚えていますが、ご夫妻は群落を見つけると、悦びに満ちた雄叫びを上げておられました。結果、一回の山歩きでご夫妻のカゴはきのこでいっぱい。僕もその3分の1ぐらいは採った記憶があります。その日はUさんのお宅で贅沢な天然のきのこ汁をいただきました。
きのこというのは何か魔力のようなものがあって、僕もその魔力にかかり、数日後にまたその山に一人で行ってみました。ところが、それらのきのこにはまったく出会えず、それどころかまた迷子になってしまい、収穫はゼロ、怖い思いだけをして山を下りてきました。
あれから50年近くが経ちますが、今だにその魔力に取り憑かれています。おおきな木野外塾の秋のキャンプもきのこ三昧。先日も美味しいきのこをみんなで見つけて、きのこ汁にしたり、ホイル焼きにしたりして食べました。ホコリタケの大群落を見つけると子どもたちは大喜び。木切れでたたきまくります。胞子が一面に舞い上がって煙幕のようになるのが楽しいみたいです。
しかし、きのこというのは山菜のように毎年同じ場所に行けば収穫できるというものではなくて、数年前にナメコの大群落を見つけた山にも毎年登ってますが、毎回空振りです。僕はフェイスブックできのこマニアの人たちのグループもフォローしてますが、その人たちは毎日すごい写真をアップしています。マツタケを100本以上採ったとか、ナメコやナラタケの大群落があったとか、両手でひとかかえもあるマイタケをゲットしたとか。いったいどこに行ったらこんな光景を目にすることができるのかといった夢のような写真ばかりです。
では最後に、この秋に出たきのこの絵本を一冊ご紹介します。『きのこってなんだろう?』(小林路子作/福音館書店)。見た目が可愛い毒きのこベニテングタケや、色や形が変わった様々なきのこたち。小さな子たちにも分かりやすくきのこの魅力を伝えてくれます。
おおきな木 杉山三四郎
1月19日。岐阜市最高峰の百々ヶ峰(418m)の麓に広がるふれあいの森で、おおきな木野外塾の冬のデイキャンプを行いました。寒くなると参加者数も少なくなるのですが、今回は40名の親子が集まりました。
普段のデイキャンプでは、みんなで一斉に同じことをやるということはあまりないのですが、今回はまずみんなで「森のビンゴゲーム」をしました。A4判のビンゴカードにはこの時季に見つかる植物の写真が25枚載っていて、それらを探してその実や葉っぱを採ってくるというルールです。制限時間は60分。親子だったり、友だち同士でグループを作り、森の中を駆け巡りました。冬なので花はほとんど見られないし、葉っぱも似たようなのが多いのですが、全員がビンゴ達成。それでも物足りなくてパーフェクトを目指して走り回っていた子もいました。
お昼はみんなで大きな焚き火を囲んで、それぞれ家から持ってきた食材を焼いて食べます。焼き芋、焼き鳥、五平餅、ソーセージ、ピザなど、そんなに変わったものがあるわけではないのですが、みんながそれぞれのものを一緒に食べるという一体感は悪くありません。
この時季、虫好きの子たちは朽木を崩してイモ虫探しをします。ドライバーやハンマーを使って崩していくと、白いイモ虫やときにはクワガタの成虫が見つかったりもします。この日は成虫には会えませんでしたが、クワガタやカブトムシの幼虫を見つけた子が何人かいました。飼育して、どんな成虫になるのか楽しみです。
31年前、おおきな木はオープンし、同時に「ことば塾」と「野外塾」という二つの塾がスタートしました。とくにこれといったカリキュラムはないので、時間割もなければ課題もない。こんな塾が果たして成り立つのか正直不安もありました。実際、ことば塾を見学に来られたお母様から、カリキュラムが書かれたものはありませんかと言われたこともありました。「塾」ですから、そういうものがあるのが普通です。
でも、そのカリキュラムとか課題といったものは大人が決めた枠組みなのです。学校はそれで成り立っていますが、おおきな木では大人が決めた枠組みに子どもを組み入れるのではなく、子どもの個性に大人の方が着いていけばいいのではないかと考えています。そして、子どもが生き生きとしていられる場を作るのには3つの「間」が必要だ、と当初から考えていました。
一つ目は、子どもが自由に過ごせる「時間」です。大人の価値観を押し付けないようにして、子どもに寄り添っていけばいい、ということです。二つ目は、子どもたちの好奇心をくすぐってくれるものがある「空間」です。野外塾で言えば、自然の空間であり、ことば塾で言えば、絵本や言葉の世界です。そして、それらを共有できる子どもや大人の「仲間」です。長年やってきてつくづく思うのは、「子どもは群れで育っていく」ということです。それも同年齢だけでなく、大人も含めた異年齢の方が断然面白いです。親も自分の子どもだけでなく、いろんな子どもたちを見て学ぶことは多いと思います。
野外塾では長年続けている子もたくさんいて、彼らは大人の手が必要な作業があるときなどの強力な戦力になっています。また、ここまでやってこられたのは、活動を一緒に楽しんでくれてるお父さん、お母さんたちのご理解とご協力があってのことで、本当に感謝です。そして何よりも、僕たちが元気でいられるのは、子どもたちから元気をもらっているからだと思っています。
おおきな木 杉山三四郎
